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将来の介護費用の請求について(交通事故)

交通事故により、被害者の方に重大な後遺障害が残った場合に、被害者の方について将来にわたって、近親者や職業介護人によって介護する必要が生じた場合には、将来の介護費の請求が認められます。

このような介護費には、以下のような3つの方法による介護方法に応じた、費用について、主張することになります。

1 職業付添人による将来の介護費用

2 近親者付添人による将来の介護費用

3 施設入所による施設介護費用

損害額の算定において、高額になりやすいのは、職業付添人による介護を根拠とする主張ですが、

これについては、

① 裁判時点では、職業付添人による介護は行われておらず、近親者が介護していたり、病院に入院しているという状況であるが、将来的には、職業付添人(公的サービスによるヘルパー利用等を含む)の介護実施が不可欠となる場合

② 裁判時点ないし請求時点において、既に、職業人介護を実施している場合

に分けられます。

既に、職業付添人による介護を実施している場合には、職業付添人の将来の介護費用を損害として請求しても、少なくとも、その必要性について争われる可能性は低いですが、他方で、裁判時点では、このような職業付添人による介護が実施されていない場合には、その必要性について、争われる可能性が高くなります。

以下では、比較的、最近の裁判例を取り上げて、この点について、どのような判断がなされているか、見てみたいと思います。以下の表は、H28.2.25東京地裁(確定)の将来の介護費用に関する判断内容をまとめたもので、原告らは、被害者(障害等級1級1号)について、現実に介護を行っている母親は、将来就労予定であること、介護の負担が著しく思いこと等を主張し職業介護人による介護が必要になるとして、当初33年間について、日額2万5000円、その後の46年について日額3万円の介護費用を前提に1億8515万円余を請求したのに対し、以下のように7928万0117円の認容判断をしたものです。

7歳~40歳までの33年間(被害者の母親34歳が67歳に達するまでの期間)40歳~86歳までの46年間 
16.0025(33年に対応するライプニッツ係数)3.5738(19.5763【86歳までの79年ライプ】-16.0025【40歳までの33年ライプ】) 
日額1万円(近親者及び一部職業介護) 日額1万6000円(職業介護) 
1万円×365日×16.00251万6000円×365日×3.5738合計
5840万9125円2087万0992円7928万0117円

次に取り上げるのが、大阪地裁H28.3.23判決(控訴中)です。この裁判では、原告側は、週5日(年間260日)被害者(障害等級1級1号)は、両親による介護を受け、週2日(年間105日)は、職業介護人による介護を受け、介護費用単価として、近親者(両親)介護につき日額1万6000円、職業介護(2名分)につき日額3万円、両親が67歳になった後の40年間については、職業介護費日額3万円を主張し、1億6246万円余を請求したのに対し、下記のとおり、合計7019万9645円の認定判決がなされたものです。

20歳~39歳までの19年間(被害者の両親の自宅介護開始時48歳が67歳に達するまでの期間)39歳~79歳までの40年間 
10.4398(13.1630【事故時17歳~39歳までの22年ライプ】-2.7232【17歳~20歳までの3年ライプ】)5.8658(19.0288【17歳~79歳までの62年ライプ】-13.1630【39歳までの22年ライプ】) 
日額8000円×261日(近親者介護)        +日額1万5000円×104日(職業介護)        =    364万8000円(年額) 日額1万5000円(職業介護) 
364万8000円×10.43981万5000円×365日×5.8658合計
3808万4390円3211万5255円7019万9645円

以上の内容をみると、原告の請求に対し、控えめな認定がなされているという印象もあるかもしれません。この点については、将来の費用に係る問題であり、介護保険制度開始後の職業介護費の変動も含めた不確定要素を考慮して、それでもなおかつ相当程度の蓋然性が認められる金額という観点から、「いわゆる控え目な認定がなされることは否定できないところだと思われます」との指摘があります(平成23年赤本下巻13頁中央下)