交通事故による傷害慰謝料について
交通事故による傷害慰謝料について
ここでは、交通事故でむちうちになった場合の通院等による傷害慰謝料について、説明しています。
ここでは、傷害を負ったことによる慰謝料のうち、いわゆるむち打ちで他覚的所見のない場合等(軽い打撲・軽い挫創(傷)を含む)をについて、裁判上の基準額についてご説明いたします。
通院期間(月) | 慰謝料(万円) | 1か月毎の増加額(万円) |
1か月 | 19万円 | 19万円 |
2か月 | 36万円 | 17万円 |
3か月 | 53万円 | 17万円 |
4か月 | 67万円 | 14万円 |
5か月 | 79万円 | 12万円 |
6か月 | 89万円 | 10万円 |
上の表は、事故で他覚的所見のないむち打ち程度の傷害を負われた方が、1か月ないし6か月程度、病院に通院された場合に、裁判上用いられる基準によると、加害者に対し、請求できる慰謝料の額をまとめたものです。
上の表を適用すれば、例えば、通院期間が、1か月であれば19万円、2か月であれば36万円が、加害者に請求できる慰謝料額になります。
では、2か月と15日通院された場合は、どのように計算するかですが、2か月の通院慰謝料が36万円で、3か月の慰謝料が53万円で、2か月を超えると、その後1か月は、17万円増額になりまから、その半分の15日通院したのであれば、8万5000円を、2か月の慰謝料36万円に足して、44万5000円が慰謝料として計算されます。
これが、仮に、2か月と13日だったとすると17万円×13日(2か月を超えた部分の通院期間【日数】)÷30日(1か月分の日数)=7万3667円(小数点以下四捨五入)となり、これに、2か月分の慰謝料36万円を足して、43万3667円が、請求できる慰謝料額ということになります。
交通事故により、入院と通院がある場合の傷害慰謝料
入院期間 | 1か月 | 2か月 | |
通院期間 | 35万円 | 66万円 | |
1か月 | 19万円 | 52万円 | 83万円 |
2か月 | 36万円 | 69万円 | 97万円 |
3か月 | 53万円 | 83万円(※A) | 109万円 |
4か月 | 67万円 | 95万円 | 119万円 |
5か月 | 79万円 | 105万円 | 127万円 |
6か月 | 89万円 | 113万円 | 133万円 |
上の表の※Aの金額83万円が、1か月入院し、その後、3か月通院したという場合に、裁判上で用いられる慰謝料の基準額になります。ちなみに、※Aの枠の左隣の53万円は、入院がなく、通院のみ3か月があった場合の慰謝料で、入院1か月があった場合と比較すると、30万円の差があり、この部分が、入院1か月したことに対応する慰謝料部分になります。入院が、1か月に満たない、例えば15日だったとすると、この半分の15万円を、53万円に加え、68万円が、入院15日、通院3か月の場合の慰謝料ということになります。
交通事故後の通院頻度が低い場合の傷害慰謝料について
もっとも、例えば、平成29年3月1日に事故に遭い、最終的な治療終了日が、同年6月1日で、3か月の通院期間があるが、その期間の間、実際に通院した日は、1月に1回程度で、合計3日しか通院していないような場合にまで、3か月分53万円の慰謝料が認められる可能性はかなり低いと思います。上記の慰謝料基準は、典型的には、1週間に2~3日程度の通院を繰り返して、3か月に至ったような場合をある程度念頭においており、上記のように、3か月の間の通院日が3日しかないような場合は、症状が重いため、通院ができず、自宅療養をしていたと認められるような例外的な場合を除くと、3か月分の傷害慰謝料を請求するのは困難と思われます。
このように通院頻度が低い場合は、通院日に3倍をかけた日数を慰謝料算定のための通院期間の参考とすることもあり、例えば、通院日が、3日であれば、この3倍の9日を、慰謝料算定のための治療期間と見たり(この場合19万×9日/30日=5万7000円という金額がある程度参考にされる可能性があります)、ある程度、この日数(9日)も勘案した上で、裁判上、最終的な慰謝料額が決定される可能性もあります。